キングジムのワン・アンド・オンリーな傑作プロダクト。テキスト入力マシン「ポメラ」にNew Shit、<DM250>がリリースされたらしいのです。DM200いらい、なんと6年ぶり。
- DM250 | デジタルメモ「ポメラ」 | KING JIM(キングジム公式)
おそらく事実であるといって間違いないと思われますが、地方に暮らしていて――且つ、コロナ禍であってハナから内勤の勤め人で県外はおろか県庁所在地にさえ出かけることもほとんどないわたしのような種類の人間にとっては、「ポメラ」のようなニッチなプロダクトの実機を店頭で目にする機会というのは、訪れようがないのです(唯一ありうる可能性としては、「知り合いが持っている」というケースですが、それもありません)。
自身の愛する道具がこうして新機種に更新されることで、プロダクトとして存続していくのは勿論、嬉しいことなのですが、ポメラのようなハードウェアの更新のサイクルの長い、そしてそもそもラインナップの展開の少ないプロダクトの副次的な「良さ」のなかに、わりあいせこい話だけれど、
「自身の使っているモデルが、ハイエンド/フラッグシップ機であって、しかもその地位にある時間が長い。」
というのがあって、わたしは新種のデジタル・ガジェットを次々に買うような経済力も、そのこと自体を良しとするメンタリティも持ち合わせていないので、そもそもこういうことは奇跡的なことなのです。すなわち、2007年の時点で小沢健二が『企業的な社会、セラピー的な社会』(ひふみよ出版部/ドアノック・ミュージック)で喝破していた<灰色>の「もう古いの計画」に心をざわつかせることがない、というのはSDGs、Web3、メタバース、コンヴァージェンス・カルチャーを見据えた2022年という「いまここ」にあって、わたし(たち)個人の効用ないし幸福感ないし精神の安定にとって、非常に有効/有用なのです。
とはいえDM250の登場をわたしは言祝ぎたいと思います。
ポメラDM200は今日もわたしにとって必要十分な道具であり相棒であり、毎日触るわけではないけれど気が向いたときに開いて、好きに文章を綴りたくなる。わたしにとっては、わたしの手許にある機械や道具(文房具も含めて)のなかでも最も、「書く行為」をアフォードするマシン。第一位。
――という地位を、たったいまも占めています。そして詳らかになっている情報を参照するかぎり、DM250というニュータイプは、DM200のあまりにもまっとうな後継機種であって、ある意味で無骨で無粋ともいえるほどの、実直な正統進化を遂げたプロダクトであるらしい。いまなら在庫整理ということなのか、各種ウェブストアでDM200が、そのDM250の半額ほどで入手できるようです。個人的には、――文章を書くことが他の何より好きであって、ポメラに興味があって、いまだ手にしたことがないという人にとっては――どちらも「買い」だと思います。Guranteed Every Time!
【以前の記事から】
【レビュー】「実はストロング・スタイル」なポメラDM200で、ただ無心に書く。――あるいはポメラDM200へのラブレター。 - ソトブログ
【当ブログのポメラについての記事一覧はこちら。】