「私にとってナラティブの力は」
作:津森ソト
私にとってナラティブは強すぎる。
その場で語られることばには私は、意味以上に、その場でのアトモスフィアに流される。強く、影響を受ける。
書かれたことば、今これを、手書きしているノートのように。タイプされ、印刷された書物のように。
そんなWritten Wordsであれば、その中身がいかに、濃密な/刺激的な/凄絶なストーリーであっても、私は受け入れる用意があり、拒絶する技術がある。
だが、ナラティブによって放たれたものが、ファストボールであってもスローカーブであっても、スピアーであっても――暖かい毛布であっても。
私には、一度受け止めることしかできない。
今回の文章(詩)は、久しぶりに書棚から手に取って、中井久夫を読み返し始めたらすぐに、(本書の内容とは直截の関りはなく)上記の詩の書き出しの一文が頭に浮かび、書き留めておきたくなって書いたものです。
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