ソトブログ

映画と本、自然観察(あるいは40代、2児の父の日常)

ソトブログ

いい調子で鳥を見ていられるなら、そりゃ幸せさ。――鳥見実録 #004

 

この記事をシェアする

 

 

いい調子で、そしてフリースタイルで。

 

ちょっとひさしぶりの更新になってしまいました。(※この文章は、このひとつ前にアップした記事、「これは(紙の)本ではないのだから――Amazon Fire HD 10は「置いて」読もう。」よりも先に書き始めました。その時点では、前回の更新から1ヶ月以上間が空いてしまっていたため、こういう書き出しになっています。)


他の方々がどういう気持ち/方針/たくらみ/願望を持ってブログを書かれているのかわからないけれど、以前ここでも書いた(下記の記事を参照)とおり、わたしは『個人的な雑誌』の――片岡義男いうところの――つもりで書いています。

 

www.sotoblog.com

 

少しあいだが空いてしまうと気負いのようなものが生まれてしまいますが、一年以上前に終わったとても・たいへん・ひじょうに大好きだったラジオ番組(TBSラジオ『菊地成孔の粋な夜電波』)の、エアチェックしたアーカイヴを聴いていたらとてもいい調子でフリースタイルなトークが展開されていて、それに全く影響されていま、わたしはキーボードを叩いています。要するに、いい調子/塩梅で書けばいいじゃん。世間ではクソみたいなことが起き続けているときほど、個人としてはいい調子でいること、が大事なんじゃないかな、と思うのです。

 

菊地成孔の粋な夜電波 シーズン9-12 安定期と母の死そして女子力篇

菊地成孔の粋な夜電波 シーズン9-12 安定期と母の死そして女子力篇

  • 作者:菊地成孔,TBSラジオ
  • 出版社/メーカー: キノブックス
  • 発売日: 2019/04/03
  • メディア: Kindle版
 

番組のトークや前口上、コント(!)を書き起こした番組本が3冊も出ている『夜電波』。筒井康隆に「ラジオでの饒舌がそのまま本になる。なんて凄い男だ」 と言わしめた菊地成孔の真骨頂とも言える番組、そして本ですが、どうやら紙の書籍は品切れになってきているようで、このたび慌ててオーダーしました。こちらは発売中のKindle版。

 

2019年12月、馬見丘陵公園(奈良県広陵町)にて。柿をついばむヒヨドリ。バーダーには「なんだヒヨか。」と言われることも多いヒヨドリですが、こうしてみると意外と可愛い(というのも失礼か)。

 

いい調子のわたしの生活、わたしにとってのいい調子の日常、というといまは息子たちと愉しんでいるバードウォッチング=鳥見。それに尽きるのですが、小学生の息子とともに初めて二年あまりとはいえ、奥深いこの世界ではまだまだ若輩者であって、それをこの場でどういうふうに紹介したり表現したらいいのか、と思うと毎回けっこう肩に力が入ってしまいます(実際にこのブログの記事を読んでいただいても、そういうふうには見えないかもしれませんが)。

 

――とまぁ、そんな気負いは忘れて、調子よく、いい塩梅でいきましょう。

 

お気に入りのカメラ、P900/P1000を携えて。

 

コンデジとは思えない大きさ、重さ(笑)のニコンCoolpix P900とP1000。それでも35mm判換算2000mm/3000mm相当でこのサイズ(手持ちで撮影できちゃう)というと、めちゃくちゃコンパクトだと思うのです。

 

 鳥見の際は他の多くの方と同じように、双眼鏡と、カメラを持っていきます。双眼鏡はわたしがペンタックス「Papilio II 8.5×21」、息子がコーワ「SV25-8」。カメラは以前からここで何度か取り上げた望遠端2000mm相当、83倍ズームの超望遠コンデジ、ニコン「Coolpix P900」。を今は息子に託して、その上位機種である同3000mm、125倍の「Coolpix P1000」を誂えました。野鳥撮影というとハイエンド一眼にバズーカライクな超望遠レンズ、というのが王道、保守本流ではありますが、キラクな40代ビギナーのわたしと、とにかく見た/撮った鳥を増やしたい伸びざかり小学生バーダーにとっては、ニコンのこのシリーズはお誂え向き、というか端的に非常に気に入っています。

 

 

コンデジ冬の時代の現在のカメラ界隈にあって、P900はこのたび、後継機種としてP950が発売されるようですし、実際、自然観察会や探鳥会に参加すると、P900やP1000を使っている方は頻繁に見かけます。それだけ手に取りやすく、使いやすく、フィールドで愛されている機種。といえるかもしれません。P1000については改めて紹介してみたいと思っていますが、なんだかいい塩梅の日常、というのとは違う文章になってきてしまったので、戻りましょう。

 

 

バードウォッチングというのはその名のとおり「鳥を見ること」なのであって、野鳥というのは実は、と改めていうまでもなくわたしたちの身の回りのそこかしこにいるので、いつどんなふうにしても始められるのですが、ちょっと調べてみると、色々な場所で、愛好家=バーダーたちの集う「探鳥会」が開催されていることがわかります。参加してみるとすぐにわかることですが、いずれの探鳥会も、初心者ウェルカム。そもそもそれなりの人数が集まって鳥見をする探鳥会というのは、「血眼になって目当ての鳥を探す」というよりも、好事家たちの、同好の士の集まりであって語らいの場、という意味合いもあるし、その輪を拡げる機会、ということでもあります。そしてヴェテランの皆さんが鳥を見つけては、フィールドスコープ(望遠鏡)にその姿を捕捉して、始めたてのビギナーにも鳥見の愉しみを味わせてくれるのです。

 

さてさて。ここからはそんなバードウォッチングな日々のなかで、見ることができた鳥たちを紹介してきましょう。ヴェテランのバーダーの方にとっては、珍しいものではないかもしれませんが、3年弱で、見て、写真に撮ることができた鳥が100種あまりのわたしたち親子にとっては、まだまだ一般的な種の野鳥であっても、「お初にお目にかかります。」という鳥たちがたくさんいます。そのこと自体、40年生きてきて、鳥見を始めるまではまったく気がつかなかった、目に入らなかったことなので、面白く、興味深くてしかたがないことなのですが、それはここでは措いておきましょう。あくまで、いい調子でいきましょう。

 

奈良の水鳥たち。

 

2019年12月某日、七条大池(奈良市)にて。道行く人が撒く、パンに群がるキンクロハジロハシビロガモ

 

週末は自宅に帰ってしまうので、単身赴任先の奈良では、これまでなかなか鳥見ができずにいたのですが、それなら週末に、息子を連れて奈良に繰り出せばいいのだ。ということに気づいて少しずつ、足を伸ばしています。奈良の池では、わたしたちの暮らす和歌山ではあまり見られないハシビロガモミコアイサの姿が。

 

連なって舐めるように泳いで水面採食するハシビロガモ。

 

こちらも初めて見た、<パンダガモ>ことミコアイサ。カモ類のカラーやパターンのヴァリエーションの豊富さは、全体的なフォルムはよく似ているだけに、何だかとても不思議。で、とても嬉しい。

 

カワセミをハシゴ。

 

2019年12月某日、杉村公園(和歌山県橋本市)にて。カワセミ(オス)

 

この日の探鳥会は、午前中は和歌山県紀北エリアの探鳥地のひとつ、杉村公園で。そして午後から大阪の大泉緑地へハシゴ。杉村公園ではオスのカワセミ、大泉緑地ではメスのカワセミに出逢いました。下嘴が赤いのがメス、というのは図鑑で得た知識ですが、そんなことより、バードウォッチングを始める以前から、なんとなく、日本の野鳥のスター。という気がしていたカワセミをこんなふうに立て続けに見られるようになるとは。少しずつ鳥見に慣れてくると、こういう環境ならこういう鳥がいそう、というのがなんとなくわかってきます。そしてやっぱり、そのことも愉しい。

 

同日、大泉緑地(大阪府堺市)にて。カワセミ(メス)

 

知らなければ、おんなじに見えちゃいそうな。

 

2019年12月、馬見丘陵公園(奈良県広陵町)にて。ひとところに群れで集まっていた、カシラダカのなかから(自分では)いちばんよく撮れた一枚。直前まで、群れで地上で採食していました。

 

こちらは奈良、馬見丘陵公園の探鳥会にて。カシラダカはホオジロ科だし、ビンズイはセキレイ科であって、全くの別種だと、いまではわかるのですが、野鳥にぜんぜん興味をもっていなかった頃を想像してみれば、おそらく違う鳥だと気がつかなかったんじゃないか。と、後で写真を見返しながらふと、思いました。小説のなかで、

 

「でも、ヒバリさんと同じくらい早起きしなきゃだめよ」

 

ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』(御輿哲也訳、岩波文庫) 

 

なんて出てきても、『せきれい』というタイトルの小説を見ても、全然その姿を想像できなかったことを、今では想像しにくくなっていますが、そうやって何を「識る」ことで、世界の見方が少しずつ変わる。ということを、40代のおっさんになってしまったわたしも感じているのだから、ティーンになったばかりの息子はもっとずっとそうなんだろうな。

 

灯台へ (岩波文庫)

灯台へ (岩波文庫)

 

 

こちらはビンズイ。馬見丘陵公園ではポイントごとに様々な野鳥がいて、種によって、好む環境が異なることを伺わせます。

 

 見たことのなかった鳥が見られる。ただそれだけでこんなに嬉しい。

 

同日、馬見丘陵公園(奈良県広陵町)にて。探鳥会のなかで息子が最初に見つけたキクイタダキ。撮影も息子。

 

同日には、大人たちに動体視力で勝る息子が真っ先に見つけたキクイイタダキや、珍鳥としてこの公園に「入っている」と事前情報のあったニシオジロビタキなど、わたしたちにとっては目新しい鳥たちにも遭遇することができました。「見たことのなかった鳥が見られる。ただそれだけで嬉しい」――これは鳥見を始めてみて気づいた醍醐味のひとつで、ウォッチャーにとって、「珍しい」ということが非常に価値の高いものとして捉えられる野鳥の世界。そのことも、視点を変えれば考えるべきところもありますが、「他と違う」ということがそれ自体で価値である、というのはなんだかいいことだな、とは思うのです。

 

同日、馬見丘陵公園(奈良県広陵町)にて。ここで初めて見たニシオジロビタキ。こちらも撮影は息子。

 

同日、こちらも息子撮影のルリビタキ。目で見て探して見つけて追いかけて、画角に捉える。そのスピード感は息子には全然敵いません。

 

図鑑にはないアングルを見られる、自分たちで「撮る」愉しみ。

 

2019年12月某日、杉村公園(和歌山県橋本市)にて。ルリビタキを下から。本当は正面の写真を撮りたかったのだけど、後で振り返ってみるとこういう写真も愉しい。

 

せっかく見つけて、美しいと思ったものを形に残したい。それって当然のことでしょ。そんなことを、以前このブログで紹介した稀代のバードウォッチング映画、『ビッグボーイズ/しあわせの鳥を探して』でもジャック・ブラック扮する主人公が言うシーンがありますが、鳥を見ると写真を撮りたくなる、というのはバーダーの性(さが)ではあります。とはいえわたしたちのような素人が、プロの写真家やハイアマチュアのようなすごい写真、美しい写真が撮れるわけではないのですが、意外と嬉しいのが、こういう、図鑑にはないアングルで野鳥たちの姿態を捉えた写真です。真下とか真後ろとか、無防備にも見える彼ら姿を、残った写真でじっくり眺めてみると、生き物としての「造り」の面白さ、美しさも改めて見えてくるから不思議です。

 

同日、杉村公園(和歌山県橋本市)にて。お馴染みのヤマガラを真下から。

 

ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して (字幕版)

ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

まだ見ぬ鳥の情報を仕入れて見に行ったり、「ガンカモ調査」に参加したり。鳥見の愉しみはNever Ending。

  2019年12月、奈良市にて。親子ともどもかねてから見たかったベニマシコを初めて、見ることができました。

 

探鳥会に参加しているとバーダー仲間、先輩方から「ここに行くとこの鳥が見られる」「あの場所にあの珍鳥が入ったらしい」というような情報を得ることができます。わたしたち親子も、この冬、かねてから見たかったベニマシコを見ることができたり、毎年1月に全国一斉に行われている、「ガンカモ類の生息調査(ガンカモ調査)」に参加して、こちらも初めてのカワアイサを見たりと愉しんできました。

 

「ただ自然のなかで、街のなかで、鳥を見る」バードウォッチングという世界にも、無限に拡がる愉しみがまだまだあります。針の穴を通して世界を、宇宙を見るように、これからも愉しんでいきたいと思います。(なんて、またちょっと気負ってしまいましたが、)いい調子で、フリースタイルでいきましょう。

 

2020年1月某日、ガンカモ調査にて、目の前をマガモの群れが飛ぶ。(和歌山県橋本市)

 

2020年1月某日、ガンカモ調査で初めてみたカワアイサ。(和歌山県橋本市)

 

冬のお馴染みヒドリガモの、アメリカヒドリとの交雑個体?(画面中央)。2020年1月、和歌山県某所。

 

エナガやメジロなどの小鳥の群れ(混群)を見ると、他に何か混ざってないか、と探しつつ、あっちこっちへ飛び交う鳥たちに目移りします。2020年1月、大阪某所。

 

 

 【以前の記事から:「#名刺代わりの映画10選」として、ハリウッド製バードウォッチング・コメディの良作、『ビッグボーイズ/しあわせの鳥を探して』を紹介しています。】

www.sotoblog.com

 

読書実録

読書実録

  • 作者:保坂和志
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/09/26
  • メディア: 単行本
 

 「鳥見実録」という言葉は、わたしの大好きな作家、保坂和志のこちらのタイトルをもじってみました。今後もこの「鳥見実録」というタイトルで、鳥見の日々を綴っていきたいと思っています。

 

【当ブログの野鳥観察についての記事一覧はこちら。】