2019年11月某日(「大阪自然史フェスティバル」で、憧れの叶内拓哉さんとバードウォッチング。)
和歌山の自宅からクルマでおよそ2時間。長男とふたり、朝6時に起床して、大阪市、長居公園にある大阪市立自然史博物館で開催される「大阪自然史フェスティバル」に向かう。お目当ては、日本が誇る野鳥写真の第一人者のひとり、叶内拓哉さんとのバードウォッチング体験と、その後のトーク・イベント。
叶内拓哉さんというと、わたしが常日頃愛用している電子版の図鑑、『くらべてわかる野鳥 文庫版』(山と渓谷社)の著者であり、わたしよりずっと上級者といえる息子の愛読書、『野鳥と木の実ハンドブック』(文一総合出版)の著者。その他多くの図鑑や書籍等、様々な媒体で活躍されている。
わたしがKindle版をスマホやFireタブレットに忍ばせて、いつも持ち歩いている野鳥図鑑も叶内さんの写真とテキストによるもの。約300種と代表種のみで網羅的な図鑑ではないのですが、普段の鳥見にはじゅうぶん。探鳥会や観察のあとすぐ、本書で確認できるのでとても重宝しています。
叶内拓哉さんが実際に観察・撮影し、そして食べてみたりして収集したデータ・写真による野鳥がよく食べる木の実と野鳥を収録したハンドブック。現在品切れですが、その後『野鳥と木の実と庭づくり』(文一総合出版)という本も出されています。
参加は先着順(50名)ということで、ある程度時間の余裕を持って、初めての大阪自然史博物館に到着。「大阪自然史フェステバル」では、(鳥関係だけでなく)他にもたくさんのイベントが企画されていて、まだ会館前だというのに、入り口前には行列が出来ていたものの、何とか叶内さんとのバードウォッチングに参加できた。
自然史博物館の建物の前から長居公園内の植物園を約一時間かけて回るコース。丁寧でわかりやすい叶内さんの解説を聴きながら巡る鳥見行は、わたしたちバーダーにとっては至福のとき。身近の鳥の見分け方や、鳥の集まる木についてなど、わたしも息子も知り得なかった野鳥観察のコツについて聞くことができたり、「そんなに珍しい鳥がいるとは期待できませんが」と始まる前に叶内さんが言われていたものの、それでも園内の大きな池にはヒドリガモやオカヨシガモ、カンムリカイツブリ、林のなかにはメジロやシジュウカラにツグミ、アオジもいて、わたしもコゲラを見つけたり、池に戻るとカワセミが、何度も間近を横切り、近くの枝に留まったり。
ちょうど先日、奈良の池で見たばかりのカンムリカイツブリをここでも。それまで見ることが叶わなかった鳥が一度見られると、その後立て続けに見られたりするのが不思議。
探鳥を始めたころは、「こんな街なかにキツツキがいるの?」と驚いていたコゲラも、見つけるのが上手くなってきた気がします。トットコと、幹を旋回しながら登っていき、おもむろにツツキだすさまがかわいい。
叶内さんによれば、鳥が集まりやすい、実や芽などを野鳥が好む木があって、エノキやムクノキはそうらしい。草木の種類はなかなか覚えられないわたしに代わって、息子のアタマにインプットしてもらう。
確かに珍鳥、珍しい鳥には出会えずじまいの探鳥会でしたが、円中央にある大池では、カワセミが近くの枝に留まってくれて、初めてかなり近い距離で撮影することができました。都市公園では期せずして(設えて?)こんなふうに間近で野鳥を見るチャンスが多いのも醍醐味のひとつ。
アオジの鳴き声につられて双眼鏡とカメラを向けた大池の岸のヨシ原で。スズメやシジュウカラといった街の鳥たちも、やはりこういう自然のなかの方が猛々しく見える気がする。
バードウォッチングのあとは叶内さんのトーク。同定やサインもしていただいて、満足感とともにこれからの鳥見に思いを馳せる。
バードウォッチングのあと、午後からは叶内拓哉さんが、自らの野鳥写真をスライドで見せながら様々なエピソードを紹介されたトーク「叶内拓哉 野鳥の話アレコレ」にも参加。全国各地で撮影された鳥たちを見ていると、わたしも息子もいち早くそんな場所へ出かけて、たくさんの鳥たちが見たくなった。会のあとも自分たちでこれまで撮った写真を同定していただいたり、著書にサインをいただいたり。
叶内拓哉さんが野鳥観察を始めたころに比べて、今は自然環境も様変わりして、日本にいる、日本に来る鳥のなかには数が減少しているものも少なくないよう。鳥見を趣味にしているから、というわけではないけれど、こんなふうな愉しみの失われない自然であり、世界であって欲しい。とちょっとおおげさに思いつつ、満足感を抱えて帰途に。
叶内拓哉さん監修、美麗かつ精密な野鳥イラストで知られる水谷高英さんのイラストレーションによる本格野鳥図鑑。国内の野鳥の網羅的な図鑑としてはすでに、(息子が)『フィールドガイド 日本の野鳥』(日本野鳥の会)を持っていますが、いずれこちらも手許に置いてみたい、と思っています。
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