ソトブログ

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音楽の聴き方を再考する――「同じものを繰り返し聴く」愉しみ。(Amazon Musicでプレイリスト、2018.12)

 

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Amazonプライム・ミュージックでプレイリスト=お金をかけられないことをレバレッジにした、エコロジカルな愉しみ?

 

ひさしぶりに音楽について。 プレイリストについて。

 

当「ソトブログ」ではここ半年ほど、定額制音楽配信サーヴィスのなかでは格段に収載楽曲数の少ないAmazonプライム・ミュージック――Amazonプライム会員特典の一部としてのサーヴィスであって、Amazonの音楽配信としては上位サーヴィスとしてAmazon Music Unlimitedが用意されているので、それもむべなるかな、というところではあるのですが――を逆手に取って(?)、「少ない中から掘り尽くして、愉しみ尽くしてしまおう!」ということで私も含めた様々な方々の、渾身/珠玉/最高なプレイリストを紹介する、ビンボーをレバレッジにした、もとい、エコロジカルな企画・取り組みを毎月続けてきたわけですが、ここに来て、2ヶ月くらいお休みしていました。

 

いつになく、あるいはいつもどおりの回りくどい語りくちで始めてみましたが、端的に、「なかなか聴けなかったから」というのがその理由。いや、音楽を聴いていなかったわけではないのです。

 

Amazonミュージックに限らず、サブスクリプション型の配信サーヴィスで音楽を享受するのがもはや完全にデフォルトになってきた感のある現在ですが、そのなかで実は私が利用しているのはAmazonミュージックのみ。な私にとって、ストリーミング配信は音楽の愉しみ方の一部でしかなくて、未だに(私のなかの)メインストリームは、CDからリッピングした自身のライブラリを聴くこと。今でこそ購入したり(CDを)レンタルしたりして入手した音楽を、Google Play Musicにアップロードして聴く、という方法を取ってはいますが、そうやって「自分のライブラリ」として手許にある感覚が欲しい、というオールドスクールな嗜好/思考を持ち続けています。

 

「同じものを繰り返し聴く」愉しみ。

 

しかし日常生活のなかで私が一番音楽を聴くシーンは、車のなか、運転中のドライヴ・ミュージックです。ここで紹介してきたようなAmazonミュージックのプレイリストなら、Bluetoothオーディオで飛ばしてプレイしますが、この1ヶ月ほどは、車のなかに置いているCDを、繰り返し聴いていました。

 

 

とくにこれ。2017年アーリーサマーの珠玉の名作、けもの『めたもるシティ』です。

 

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「とりあえずCDプレイヤーにそれが入っているから、入れ替える手間を惜しんでそれを繰り返し聴く」。CDをはじめとしたフィジカルな音盤の最大の魅力/チャーム/アドバンテージは実はこれで、そして、このことに耐えられる音源は実は少ない(飽きるから)。

 

 

保坂 CDを入れ換えるのめんどくさいでしょう。だからずっと同じCDを聴いてるの。いまはオーネット・コールマンとセシル・テイラーとルー・リードとボブ・ディランなんだけどね。

 

保坂 でもね、そうはいいつつ、ぼくはCD入れ替えないから、三、四週間単位で同じのを聴くんだけど、同じデレク・ベイリーでもいまはこっちだな、ってのはあるよ。

 

どちらも上記『音楽談義』から、小説家の保坂和志さんのことばですが、 保坂さんの言われている通り、レコードがCDに取って替わったのも、CDから配信、ストリーミングにパラダイムが移ったのも、「めんどくさい」のがイヤになったから=「利便性」への流れですが、「CDを入れ換えるのめんどくさい」からこそ、同じものを聴き続けることができるわけです。そして今のような時代に、音楽を「愉しむ」秘訣があるとすれば、実はそれは、けっこうこれ=「めんどくさい」に自分を誘導することじゃないか、と。

 

 してみると、結局この半年くらい、わざわざ100万曲レベルという、(相対的に、しかし圧倒的に)貧しいAmazonプライム・ミュージックから曲を文字通りマイニングして、せっせとプレイリストを作ったり、この「ソトブログ」程度の小さなブログ上で読者からプレイリストを募って、紹介してきたりしたのも、意識してかしないでか、同じこと=「めんどくさい」ことを望んでしてきたんじゃないかと。

 

もちろん便利なのは私も好きです。イヤフォンも完全ワイヤレスに慣れてしまうとワイヤードには戻れない! なんて思うし、宅配レンタルから、動画配信という流れで、DVDレンタルの実店舗に行くことはほとんどなくなってしまいました(先日、息子のために「忍者ハットリくん」を借りようとTSUTAYAに行ったら、とうに会員証の期限が切れていました)。

 

そして今回、このあと紹介するお二人の方のプレイリストを、2ヶ月近く前にもらっておきながら、なかなかここで記事にまとめることができなかったのも、それをことばにすることの難しさ、私の音楽的素養のなさはもちろんですが、私がこの記事を書くのに、プレイリストの楽曲リストをタイピングして書き写したりする手間に億劫になっていたからでもあります。Amazon Musicのプレイリストには、ブログへの「埋め込み」機能もあって、前回の記事からそれもしていますし、あえて楽曲リストを書いていく必要はないのですが、その人が作ったプレイリストには、その人がそれを作る時間の流れていて、それを通して聴く時間の流れていて、さらにそれを聴く私の時間の流れている。ということに考えを至らせると、相応の時間をかける、ということがやはり必要な気がしてしまいます。

 

――などと、長々と書いてしまいましたが、結局は私の、お二人への完全な言い訳に過ぎません。というわけで、前回に引き続き、以下、本当の音楽愛好家と呼ぶにふさわしい、ブログ「音楽と本」を運営される、なるかみ音海さんと、ミュージシャン、スギーリトルバードさんのプレイリストをお楽しみ下さい。

 

“景気のいいメタル〜オルタナソング”(選曲:なるかみ音海)

 

※以下、選曲は全て、「演者/曲名」で表記しています。
※プレイリストのリンクをクリックすると、Amazonプライム会員の方は、Amazon Musicアプリでプレイリストが聴けます。また、埋め込みリストでは、この記事上からそのまま再生することができます。

 ※追記(2018.12.11):埋め込みリストからの再生は、ダイジェスト試聴に仕様が変更になっているようです。また、共有したプレイリストの再生は、以前はPCのブラウザ上でも可能だったのですが、現在はモバイル版のアプリのみで可能なようです。

 

景気のいいメタル〜オルタナソング (選曲:なるかみ音海)


M01. Deftones/Back to School
M02. SUICIDE SILENCE/Wake Up
M03. Cannival Corpse/The Time to Kill Is Now
M04. At The Gates/Blinded By Fear
M05. Obituray/Brave
M06. Suicidal Tendencies /Scream Out
M07. Slipnot/Get This
M08. Slayer/Angel of Death
M09. Skrillex/First of The Year

 

 

なるかみ音海さんによるコメント:

 

今回はメタル/オルタナ系で選びました。Amazonプライム・ミュージック、こちらの方面もかなり充実していました。選考基準としては僕が今まで聴いてきた中で本当にカッコイイ、元気が出る、テンションが上がるというタイプのものを考えました。奇をてらったただ早いだけの曲とかならいくらでもあるのですけれど、それはお勧めできるものとは違うと思い、結果的に昔から聴いていた割と古めのモノが中心となりました。

 

1曲目は大好きなDeftonesです。もともとアルバムに収録されていなかったこの「Back to School」ですが、名盤「White Pony」の再発だか再編集版で冒頭に来ています。プレイリストのオープニングを飾るにふさわしい迫力と暴力的な美しさを兼ね備えた曲です。中途のVo.のチノのスクリームは鳥肌モノですよ。

 

2曲目は再三ブログでも言及しているSuicide Silenceの「Wake Up」。今回の選曲の中では一番デスメタル色が強い曲ですね。といってもデスコアよりのよりオルタナ色の強い方ですけど。とにかく冒頭の「ウェイクアップ!ウェイクアップ!」と絶叫する今は亡きミッチ・ラッカーのスクリームが圧倒的です。そして後半のスロー・テンポになったブレイクダウンの部分も重くてアレンジも若いアイディアに溢れた素晴らしい曲です。

 

3曲目はデスメタル、Cannival Corpseの「The Kill」です。この曲は起伏の激しい彼らの曲の中ではかなりシンプルな構成になっていて、ひたすらスタスタというリズムに載せた図太いギターのリフの万華鏡のような展開を楽しめます。リフが次から次へと変化して飽きない曲です。ラストの「タイム・トゥ・キル・イズ・ナウ」は一緒に連呼すると楽しいですよ。

 

4曲目はAt The Gatesの名曲「Blinded By Fear」です。この一曲で一気に知名度を上げた彼ら、その後のメロデスの流れを決定づけたサウンドは今聴くと他のバンドサウンドに比べるとややチープな感じもしますが、古典は古典としてどうぞ。

 

次は活動歴の長いデスメタルバンド、Obituaryの割と新しい曲です。本当は彼らの曲でもっとおすすめのヤツがあるのですがプライム・ミュージックにはラインナップされていませんでしたので雰囲気の近いこちらを選曲しました。まあ大体彼らいつもこんな感じで、図太いギターの音に個性的な吐き捨てヴォーカルが乗るのがデフォルトです。

 

後半はとにかく一聴してカッコイイという曲を並べてみました。Suicidal Tendenciesのバキバキいうベースで始まる「Scream Out」は今から10年近く前にバンドでやりました。とにかくドラムロールの心地よさと、スっタンスっタンという小気味良いスピードメタルの醍醐味を味わってください。


もう有名どころばかりですが、このSlipknotの「Get This」は1stの隠しトラックだったような気がします。あまり知られていない曲ですがとにかくデスメタルばりのリズムに彼らのセンスがまぶしてある超パワー系メタルソング!Voのスクリームがすごい。

 

そして満を持してのSlayer「Angel of Death」。このスラッシュメタルアンセムは永遠に色褪せることのないぶっちぎりのメタルソウルミュージック(もはや何を書いているのか自分でもわかりませんが)としてその名を永遠にメタルソング史に刻むことでしょう。コンサートでもほぼ最後かアンコールに演奏される屈指の人気曲です。その昔、パブリック・エネミーがこの曲の中間部をサンプリングしていたのに感動した記憶があります。

 

最後はメタルではないのですがスピリットにメタルを感じるSkrillexの「First of The Year」で幕を閉じます。初めてこの曲を聴いた時のインパクトはすごかった。びぃーびぃーと鳴り響く低音にこれでもかと炸裂する機械音、そして美しいピアノとエイフェックスツインのような方法論を用いつつメジャー性も感じさせるというものすごさ。違和感はあまりないと思います。


あまり長くすると飽きると思い、シンプルにまとめてみました。元気がない時に聴くと元気が出るか、もしくはやかましすぎてさらに元気が失せるかのどちらかのプレイリスト、どうぞお聴きください。

 

“Heat: My October”(選曲:ソト)

  

 Heat: My October(選曲:ソト)


※M01. Ambrosia Parsley; Elegant Too/Goodnight Moon
M02. Monochrome Set/The Jet Set Junta
M03. P.M. Dawn/Set Adrift On Memory Bliss
M04. Regina Spektor/Better
※M05. Miguel/Cadillac
M06. Hiromix/ハロー!アイ・ラヴ・ユー
M07. Car Seat Headrest/War Is Coming (If I Want It)
M08. Nine Inch Nails/Less Than
M09. 佐々木恵梨/ふゆびより
※M10. Ivy/Thinking About You
M11. Everything But The Girl/English Rose
M12. Gus Gus/Desire (Gus Gus Vs. Ian Brown Mix Edit)

 

 

選曲コメント:

 

続いては私のプレイリスト。こちらは、ヘヴィロック主体のなるかみさんのプレイリストへのアンサーとして作っていたのですが、全然そういうものにならず、その片鱗はNine Inch Nailsが入っていることくらい。結局はいつもの私の趣味的なものになってしまいました。プレイリストのタイトルは、作成直前に映画『ヒート』(1995年、マイケル・マン監督)を観たから。※印のM01、M05、M10は選曲時(2018/10)はプライム・ミュージックで聴けたのですが、この記事を書いている2018/12/11現在では、Music Unlimitedでしか聴けなくなっているようです。

 

“in a sentimental mood”(選曲:スギーリトルバード)

  

 in a sentimental mood (選曲:スギーリトルバード


M01. Aphex Twin/I
M02. Cosmo Pike/After School Club
M03. FKJ/We Ain't Feeking Time
M04. Tom Misch/Wake Up This Day feat.  Jordan Rhakei
M05. Frank Ocean/Nikes
M06. Ben Watt/Empty Bottles
M07. LEO今井/東京電燈 -Tokyo Lights- fet. Kenji Jammer
M08. Phum Viphurit/Strangers in a Dream
M09. 堀込泰行/New Day
M10. ミツメ/エスパー
M11. カネコアヤノ/湯船
M12. haruka nakamura/音楽のある風景 

 

 

スギーリトルバードさんによるコメント:

 

ソト君のプレイリストがセンチメンタルな印象だったので、そのままセンチメンタルな気分やロマンティークな気分の曲ばかり揃えました。例によって、歌詞の意味とかは無視して、曲の印象だけですが(笑)。 

 

改めて、繰り返し音楽を聴く愉しみ。プレイリストを作る愉しみ。

 

――と、それぞれのプレイリストは全然違うジャンルや印象の曲が並んでいつつも、緩やかに繋がっていく、プレイリストのやりとりになりました。上述のように、このところゆっくり音楽を聴いていなかったのですが、私もあらためて、これらのプレイリストをじっくり愉しむ年末にしたいと思います。

 

 

そして今回のアイキャッチに入れた、「She's Electric」というフレーズは、先日、妻の誕生日に贈ったプレイリストCDの、Oasisの曲名から。相手がどう思ってくれているかはわかりませんが、未だにこういうことが止められない私のような方が、他にどれくらいいるのかわかりませんが、そんな人にとっては、Amazon Musicなどの配信サーヴィスでも、プレイリストを作ってみるのはきっと、愉しいはず。皆さんも是非、試してみて下さい。そしてもしよければ、私にも聴かせて頂ければ嬉しいです。今回のように時間がかかってしまうこともありますが、当「ソトブログ」で紹介させていただきたいと思います。

 

※ご連絡(プレイリストの送付先)は、ソトブログの問い合わせフォームか、Twitter(@t_soto)まで。

 

 

【これまでに紹介したプレイリストについてはこちら】

 

【余裕があればMusic Unlimitedも利用したいな、とは常々思ってはいます(未だ未契約...)。4,000万曲以上、というのは確かに魅力。】