ソトブログ

映画と本、自然観察(あるいは40歳、2児の父の日常)

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南方熊楠記念館で粘菌探し。和歌山県立自然博物館主催イベントにて。

 

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南方熊楠記念館(和歌山県白浜町)正門に続く階段にて。

 

南方熊楠の偉業を讃えた<南方熊楠記念館>で、粘菌を探そう!という贅沢なイベント。

 

小学生の長男と私の、休日のいちばんの愉しみとなっているフィールドワーク、自然観察教室への参加。稀代の博物学者、南方熊楠を輩出したこちら、和歌山県では、自治体や博物館、大学など、様々な主体が趣向を凝らしたイベント=自然観察教室を開催しています。

 

今回は、去る2018年10月13日、白浜町にある<南方熊楠記念館>での、「キノコや粘菌をさがしてみよう!」という教室に参加してきました。

 

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粘菌というと、生物学における熊楠の主要な研究テーマのひとつとして知られていて、上記の記事でも紹介したとおり、私たちも毎年、<ひき岩群国民休養地>での自然観察教室で粘菌観察を愉しんできました。

 

今回の教室は、海南市にある和歌山県立自然博物館の主催。講師は学芸員の川上新一先生。粘菌について、一般向けにも数々の粘菌(変形菌)関係の入門書等を著されている、一級の専門家です。そんな方から、南方熊楠記念館のある<番所山公園>で、粘菌の採集と観察について学べるというのですから、非常に贅沢なイベントです。

 

 

南方熊楠記念館入口。熊楠の唯一無比の偉業を讃えた展示も、一見の価値あり。

 

南方熊楠記念館は、関西随一の海水浴場で知られる白良浜(和歌山県白浜町)から徒歩20分の地にある臨海エリアにあります。近隣には国立自然公園である<番所山公園>、京都大学大学院理学研究科附属瀬戸臨海実験所の附属施設、<京都大学白浜水族館>(こちらでも磯観察など、様々なイベントが開かれています)、海水浴場やグラスボート乗り場、白浜のシンボルとして知られる名勝<円月島>などがあり、自然観察にも行楽にも最適な場所で、私たち家族も折々に触れて訪れ、過ごしているところでもあります。

 

講義を訊きながら取ったメモより:「粘菌(変形菌)は世界で900種(日本国内で500種」「分布的特徴として、汎世界的に分布する種が多い(胞子がよく飛ぶことから)」「生態学的役割:バクテリアやカビなどの「分解者」を食べることで、それらの分解を遅らせているのではないか」などなど。一度きちんと本を読んで、吸収してみたいと思います。

 

まずは川上先生から、粘菌の基礎知識についての講義を聴きます。最近はこういうお話もちゃんとメモを取るようにしています。「その方がより愉しめるから」というのが主な理由ですが、もう一つには、そうしないと吸収力の早い小学生の息子の知識や興味、好奇心に追いつかない、というのもあります。そしていざ、粘菌採集へ!

 

いざ、足許に拡がる小さなワンダーランド、粘菌の世界へ! 

 

 

記念館の敷地を一歩出るとそこは、豊かな植生の拡がる番所山公園。虫除けスプレーを振り、腰からは蚊取り線香をぶら下げて虫刺されに注意しながら、普段は見向きもしない朽ち木や腐葉土、落ち葉を掻き分けて、というより一枚いちまい枯れ葉をめくりながら、宝探しをするように粘菌を探します。

 

「先生、これは?」「菌類、キノコの一種だね。粘菌ではないけど、良かったらこれも持ち帰って観察してみて」。――「先生、こっちはどうですか?」「うーん、残念。これは虫の糞だね」。――「お、これは粘菌の変形体(粘菌の活動、成長期、アメーバ状になり移動する状態)の這ったあとだね。これも持ちかえってみよう」。

 

――そんなふうにトライ&エラーを繰り返しつつ、結構次々に粘菌が見つかるのが驚きでした。とくに子どもたちの観察眼は鋭い! 小さな葉っぱのうらについたものなどを、相次いで発見し、先生に報告していきます。

 

 

私たち父子もいくつか、発見することができました。下の写真の中央下、菓子箱に入れた朽ち木の塊には――、

 

 

こんなふうに小さく白い粒々がこびりついていますが、こちらが粘菌の一種、<シロジクモジホコリ>です。1時間ほどかけてひと通り採取したあと、先ほど講義の行われた研修室に戻って、ルーペで観察します。

 

海岸部らしく傍らにはこんな、ハマアザミの花も咲いていました。

 

研修室に戻って観察。図鑑を見たり先生に訊いたりしながら、同定(種の特定)をしんます。

 

驚いたのは観察でお借りしたこのルーペ。40倍の倍率に、LEDライトが点いてとても見やすいのです。 

 

おそらくこの製品あたりでしょうか。ただ、野外での使用なら40倍は倍率が高すぎるようで、下記の10倍くらいのものが、最適なようです。

 

高品質な天体望遠鏡で知られるビクセン社のルーペ。ひとつ持っておいて損はなさそう。

 

 

ルーペで拡大して――、スマホを当てて撮影した写真がこちら。先ほどのシロジクモジホコリです。こうしたルーペは見る面積が拡く、スマホのレンズが当てやすい。これは色々試してみたら愉しそうだな、と思いました。

 

シロジクモジホコリ(子実体)。肉眼では気が付かなかった丸い胞子嚢がくっきり観察できます。

 

その他、息子の見つけたジクホコリなど、いくつかを標本にするために持ち帰りました。せっかく和歌山に住んでいるのだから(粘菌じたいは和歌山に限らず、全国どこでも見ることができますが)、これからも粘菌生活、愉しんでみたいと思っています。

 

 

 

 【以前の記事から:昨年参加した自然観察教室でも、粘菌を採集・観察しました。ミクロで奥深き粘菌の世界。】

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