ソトブログ

映画と本、自然観察(あるいは40歳、2児の父の日常)

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鈴木章史さんによるChromebookライフスタイル本、『アカウントを持って街へ出よう』発売に寄せて。表紙デザインをさせていただいたことなど。

 

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 『アカウントを持って街へ出よう』の表紙になった写真。フィルムカメラ、アサヒペンタックスSPにて私の妻が撮影したもの。

 

ブログ『おふぃすかぶ.jp』の鈴木章史さんによるChromebook本、『アカウントを持って街へ出よう』が発売されました。

 

国内全Chromebookファン待望の、といっても過言ではない(とか書くと著者ご本人に突っ込まれそうですが)、ブログ『おふぃすかぶ.jp』の鈴木章史さんによるChromebook本(電子書籍)、『アカウントを持って街へ出よう』が、Amazon KDP(Kindle Direct Publishing )として、6月1日、発売されました。

 

 

 

表紙デザインをさせていただくことになった経緯と、鈴木さんのテキストの魅力について。

 

Chromebookという特定のOS(Chrome OS)を搭載したラップトップPC、デジタルガジェットについての本。すなわちIT関連書籍でありながら、単にハードウェア、ソフトウェアの紹介に留まらない、タイトル通り『アカウントを持って街へ出よう』というライフスタイルの提案を、全8章20万字に渡るフルボリュームの「暑い」語り口、もとい、ジェントルで丁寧な語り口で綴られた一冊。その内容について、その要点をサマライズしてお伝えすることは私の任ではないというか手に余りますので控えますが、今回、鈴木さんが本書を制作するにあたり、<表紙デザイン>という形でお手伝いさせて頂きましたので、その裏話というか制作過程に触れることで、本書の魅力、鈴木さんの文章の魅力をお伝えすることができればいいな。と思って少し書いてみます。

 

はじめに鈴木さんからご連絡いただいたとき、私は驚きました。そして、「何を言っているんだろう? この人は!?」と思いました。何故なら私はプロパーのデザイナーではありませんし、紙・デジタルを問わず書籍の装丁、デザインなどを手掛けたこともありません。それ以前に鈴木さんにお会いしたことも、彼が主催したChromebookオフ会での一度しかありません。人気ブロガーでもありません、有名人でもありません(これらは余計か)。

 

手がかりがあるとすれば、私がオフ会のときに鈴木さんはじめ参加者の方に(勝手に作って)お渡したミックスCDとメッセージーレターのジャケットを、私が自作していたこと、Twitterのつぶやきで、私が以前、友人のバンドのフリーペーパーを制作したものを紹介したりしていたのをご覧になって、ある程度グラフィックソフトが使えるらしいこと。それくらいはご存知だったのかも知れません。しかしそれもお世辞にもプロフェッショナルなものとは言えません。

 

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私は(現在は違いますが)、編集者・ライターといったことを過去数年間だけですが生業としていたことはありますし、その当時所属していたプロダクションは、グラフィックまわりに非常にこだわって一流の方々と仕事されていて私もその一端を垣間見ることはできました。あるいは私自身書籍や雑誌が大好きでその装丁、デザインにも関心があります。しかしその全ては私の実力とは関係がありません。

 

そして、「アカウントを持って街へ出よう」というステートメント。 

 

(左)最終的にこの形に完成するにあたっては、本職のグラフィックデザイナーをしている友人にもアドヴァイスをいただきました。Kさんありがとう。(右)私も鈴木さんも最後まで気に入っていたアザーヴァージョン。こちらは黄昏っぽさが「街へ出よう」というイメージと合わない(「帰る」感じ)だということで、左の方に決まりました。こちらの写真は、本書の<おわりに>で使われています。

 

だから私は鈴木さんからのこの依頼、「おふぃすかぶ.jp」として初めてのChromebook本を出すにあたって、(勿論仕事として)表紙を作成して欲しい、というオファーを頂いたとき、お断りするべきかとも思いました。「もっとふさわしい人がいるはずですよ」と。しかし不遜にも私がお引き受けしたのは、ブログにおける鈴木さんの文章を何度もなんども読んできて、(少しの時間ですが)お会いしてお話させて頂いて、彼が伊達や酔狂で、あるいは深い考えなしにそのようなことをするはずがないのではないか、と考えたからです。私にご依頼いただいた意味があるはずだと。そして何より、そのときに教えていただいた『アカウントを持って街へ出よう』というタイトル(「Chromebookとの365日」という副題はまだ決まっていませんでした)を眺めていて、私にはあるイメージが浮かんでしまい、それを実現したいという気持ちが膨らんで、抑えることができませんでした。

 

――なので私は少し考えて、鈴木さんにこうお伝えしました。表紙は私の妻が、フィルムカメラで撮影した風景などのスナップフォトになります。Chromebookの写真は入りません(その後、鈴木さんのPixelbookをアイコン的に入れることになりましたが)、私が作るとしたらそういうものになりますが、いいですか?と。

 

Chromebookは<仮の入れ物>であって、本質的に私たちが持ち歩いているのはアカウントであって、それさえあればいつでもどこでもどの端末からでも、いきなり自分の環境を開いて作業ができるのだ、――すなわち「アカウントを持って街へ出よう」というステートメントは、ブログ『おふぃすかぶ.jp』で繰り返し鈴木さんが伝えられているものです。『おふぃすかぶ.jp』というサイト自体、Chromebookというガジェットの、「モノ」としての魅力のみを発信されているわけではありませんし(もちろん、10数台のChromebookを自身で入手しそのどれをも愛され、使われていてその魅力を綴られていることは言うまでもありませんが)、『アカウントを持って街へ出よう』というタイトルになるという本もまた、そうしたものになるだろうと思いました。だからこその提案でした。

 

「タイトルにChromebookがない!」と一瞬驚きはしましたが、「鈴木さんらしい、『おふぃすかぶ』らしいな」とも思いましたし、ひょっとしたら私が編集者だったとして鈴木さんの本を作るとしても、そうするような気がしました。そして直感に従って、本当に恐縮で不遜で不敬で命知らずだとは思いつつも、上記の提案に鈴木さんが快諾してくれたことから、チャレンジさせて頂くことにしたのです。

 

その結果が今回の表紙となりました。鈴木さんには申し訳ないながら、本当のプロフェッショナルからみれば未熟なところも多分にある表紙なのかも知れませんが、最終的に形となったものに至るまで、いくつもの案と修正を繰り返し、今の私にできることは精一杯やらせて頂きました。そして、「Chromebookというコンピュータについての本なのだ」、というわかりやすさからは少し離れたものになってしまいましたが、鈴木さんの伝えたい「アカウントを持って街へ出よう」というメッセージを、いくばくかはヴィジュアルイメージとして伝えることのできるものにはなったのではないかと自負しています。

 

“身軽さと気軽さと手軽さという軽さを感じさせてくれる相棒“への、人のこんな想い。

 

鈴木さんにも見せていない、最初に候補としてピックアップした10数枚の写真のひとつ。

 

読者にとっては読み始めたら表紙なんてどんなものだろうが関係のないものですし、読者は鈴木さんのテキスト、Chromebookについての情報を求めて本書を手に取る(ダウンロードする)のであって、それでいいのだと思います。しかし電子書籍であっても本のシミュラクラ、というか本そのものであるわけですから、少しでも「あ、感じの良い表紙だな」「読んでみたけど、こんなふうに明るくて爽やかで、奥行きのある風景の似合う本だったな」なんて思ってくれたら嬉しいです。いや、それは私にとっては贅沢だな。とにかく私の手掛けた表紙がマイナスにはならず、沢山の読者の方が鈴木さんの文章に触れてくださることを願いつつ。

 

(しかしそれでも、私のデザインはともかく、妻の撮った写真は私は大好きなので、それが今回、鈴木章史さんの電子書籍の表紙として、Amazonの棚に並んでいる姿を眺めるのは、私はとても嬉しいです。ちなみにこれ、10数年前、すなわちゼロ年代初頭、Chromebookなんてこの世に影も形もなかった時代の景色なのです。あえてそんな写真を使ったことについても、その理由を書こうと思いつつ今回触れられませんでしたので、また機会があれば書いてみたいと思います。)

 

最後に『アカウントを持って街へ出よう』の<はじめに>から、次の言葉を引いておきましょう。

 

人は、たかだか数万円の電子機器にここまで熱くなれるんだ。

 

初動、多くの方に購入され読まれているようで私も本当に嬉しいです。

 

【ちなみに私はというと、Chromebook(C202SA)の一人称で記事を書いてしまうような、酔狂な人間です。】

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