ソトブログ

映画と本、自然観察(あるいは30代後半、2児の父の日常)

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見つけたモノはどんどん撮影、記録。“自然観察登山”はこんなに愉しい。――和歌山田辺・龍神山にて【後編】

 

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龍神山で出逢ったルリシジミ(2018.5.20) 

 

和歌山県田辺市の(身近な)霊峰、龍神山で“自然観察”登山。

 

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 行楽日和、登山日和に恵まれた5月20日。自然観察教室として小学生の息子とともに参加した地元、和歌山県田辺市の龍神山(標高496m)への登山イベント。前回に引き続いて今回は、その道中で出逢った生きものたち、植物たちを紹介していきたいと思います。

 

かの南方熊楠の著作にもその記述のある龍神山は、田辺市の市街地から近い田辺市上秋津にあります。当日は、自然観察教室の主催である、ひき岩群国民休養地「ふるさと自然公園センター」から、車で乗り合わせて約10分ほど、農道を登った先にある登山口から出発しました。

 

龍神山登山は自然観察会でも人気のイベントのひとつで、家族連れから年配の方まで、30人程が参加していました。(登山口にて集合の様子)

 

当日は30人ほどの参加者があり、子どもたちからお年寄りまで、にぎやかな雰囲気。山頂付近までは約1時間の道のり。比較的整備された登りやすい山道で、前回の記事で書いたとおり、ここから道みちで、それぞれ動植物の専門を持った先生方が目に付いたモノを解説して下さったり、こちらから質問したりして歩いて行くのが、自然観察会のいちばんの醍醐味。先生たちとも顔なじみの長男は、いつも先生のそばにくっついて歩いて行きます。

 

 野帳に、「見つけたモノ」の名前を訊いて、どんどん書いていく。

 

 野帳(観察ノート)に用いたのは、リヒトラブ「クリップファイル」マルマン「クロッキーリーフ」

 

前回も紹介したとおり、当日私は野帳(観察ノート)として携行した、リヒトラブ「クリップファイル」(A5)に挟んだメモ用紙にカリカリとメモを取りながら、歩いて行きました。長男にもコクヨ測量野帳を持たせていましたが、だいたいいつも自然観察会では私がメモ役。「父ちゃんはアナタの助手じゃないよ。」と言いつつも、今回ばかりは登山行で、弁当・お茶など自分の荷物は自分のリュックに担いで歩く息子の姿を目にし、大目に見てやることにしました。――というより、実は私自身、この作業が、自然観察で一番愉しいことのひとつなのです。

 

 

実際にどういうふうにメモしているかというと、こんな感じ。

 

 

写真ではわかりにくいですね。全文を書き写してみます。

 

・野帳(観察ノート)から


5/20 竜神山を歩こう 竜神山(496m)


テングチョウ/イシガケチョウ/モンキアゲハ/ササユリ/タツナミソウ
タチシノブ(carrot fern)/オオバヤシャブシ/タチツボスミレ/ウラジロ/ワラビ/コシダ/カラスザンショウ/ウツギ/ウラジロイチゴ/ネズ/ウバメガシ/アカマツ/カンコノキ/(オーソコーツァイト)※石英の粒子からなる砂岩/コジイ/ネジキ/カクレミノ/タイミンタチバナ/ヒサカキ(ビシャコ)/ヤマモモ/シマアメンボ/16℃(池の水温)/シシガシラ/クサギ/シハイスミレ/ルリシジミ/カマドウマ/アサマリンドウ/ザトウムシ/モチツツジ/ガンピ/シャシャンボ/ヒカゲツツジ/ナナカマド/スノキ(ツツジの仲間)/サカキ/ガクウツギ/テンナンショウ/ムロウマムシグサ/フタリシズカ/ナベワリ/コメツキムシ/カキノハグサ/オオセンチコガネ×→ルリセンチコガネ/クロスジヘビトンボ(幼虫)/イワヒバ/トカゲ/ベニシダ/イズセンリョウ/バアソブに似たの・ツルニンジン/シシガシラ/トキワツユクサ/ソヨゴ/アケビ/オオイタチシダ/マメヅタ/テンの糞

 

計3ページ。――そう、私の場合、ただ見たモノの名前を書いていくだけ。もちろん(というと格好悪いですが)私が自分で判別できたり知っているモノはほとんどなく、その場で先生が教えてくれたものを書いていきます。時には図鑑を見て、これまでの自然観察会で見かけてその名を覚えている息子から、「あ、ウラジロ。」「タイミンタチバナ。」「こっちはシャシャンボ。」「フタリシズカや。父ちゃん、書いといて」と指示が飛んできます(「“書いといて”やないやろー」と周囲からツッコミを受けながら)。

 

参加者の方のなかにはハンディカムで動画に収めながら、その場で訊いた名前を声で吹き込んでいる方もいて、やり方はそれぞれだと思いますが、私の場合、書いたメモと写真を見比べながら、息子と話しながら思い出しつつ、あるいはこのブログを書くために見返しつつ、図鑑を見たりウェブを検索したりして確認していく作業によって、少しずつ生きものや植物の名前や特徴を覚えていくようにしています。

 

「覚えること」それ自体が目的じゃないのだから。

 

中間点にある池に注ぐ水路の水温を測っているところ。

 

 観察会のその場では、その生きもの、植物についてより詳しい解説をして下さることもあって、それ自体が非常に面白いのですが、なかなか全部メモに取ることはできません。でも、それでいいんだと思っています。その場限りで忘れてしまったようでも、あとで写真を見返してみたり、こうして文章にまとめていて思い出すこともありますし、どうせ全部は覚えられません。何より、「覚えること」それ自体が目的ではありません。

 

――とはいえ育ち盛りの息子などは見たこと訊いたこと、読んだことを非常に良く覚えていて、親バカとしては、「すわ神童か!」と期待したり、先生方も驚いてくれたり褒めて頂いたりしていますが、息子が神童かどうかはともかく、こういうふうに自分の中に知識として蓄積していく愉しさこそ、学ぶことの面白さの本質のひとつかも知れません。特定のディシプリン(専門分野)を深く追求して研究したり、真剣に取り組むことをあまりして来なかった私でも、例えば文学や映画、音楽、美術に触れるときでさえそういうことは実感としてあるものですし、子どもたちにもその愉しさを、今から存分に味わって欲しいと思います。

 

そんなわけでここから、龍神山の生きもの&植物たちを、写真とともにランダムに紹介します。今の私には、これらの生物、植物の相関について深い知識はありませんが、時が経って見返してみて自分に理解できたら愉しいですし、あるいはもう少し大人になった息子たちがいつかこれを読み返して、龍神山の生態系について理解し、私に解説してくれる日のことを、ちょっと期待しつつ。

 

 龍神山の生きもの&植生グラフ。

 

 ネジキの花。名前の由来は、幹が捻れることから。

 

 アナグマの巣穴らしい。

 

カラスザンショウ(新芽)。サンショウ同様の特有の香り。

 

アリジゴクを捕まえた!

 

幾何学的な拡がりを見せる、ウラジロの群生。「現代アートのようやね」とある先生。

 

フタリシズカ(左)の小さな白い花と、カキノハグサの黄色い花が並んでいました。カキノハグサはレッドデータに記載されている県もあるなど希少種のようですが、山頂付近でいくつか見られました。

 

こちらも参加者の子どもが捕まえた、ルリセンチコガネ(オオセンチコガネ)。所謂「糞虫」(ふんちゅう、と読む。フンコロガシの仲間)。日本の糞虫はフンをコロがさないらしいが、『ファーブル昆虫記』を愛読中の息子は先生方と糞虫談義に興じていました。

 

神社や梅林など、いつも色々な所で見かけては、手のひらに取り、指の間で折り曲げてプチプチと鳴らして遊んでいた丸い草は、マメヅタというシダの仲間でした。

 

テンのものらしい、動物の糞。こうした痕跡で同定ができるようになると、自然観察はもっと愉しいですね(危険予知にもなりそう)。

 

糞で記事を終わっても何なので。モチツツジの淡い綺麗な花が、そこかしこに咲いていました。

 

「次に来るときはもっと詳しくなって…」なんて頑張ってみるのも愉しいです。でも疲れた!

 

 【過去記事より。自然観察に最適な植物図鑑、2冊を紹介しています。】

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