夏の映画!というとサマーでヴァケイションなハイテンションもしくは甘酸っぱいお話を想像、期待するけれど、映画人というのは、あるいは映画ファンの観客もまた、業の深い人種なのでしょうか。私の思い入れのある夏映画はどれも、イケてない人のイケてない話ばかり。でも皮肉でもなんでもなく、彼ら彼女らが、もがいたり諦めたりふざけたりボーッとしたりしている様を眺めていると、不思議と愉しい気持ちになります。
なお、私は観たはしから映画の細部を、ストーリーを忘却してしまう特異体質であり、鑑賞直後でないと詳しくレビューできないため、今回は一言ずつコメントします。偉そうに言うことではありませんが。
プールサイド・デイズ
プールサイド・デイズ
原題:The Way Way Back
製作年:2013年
監督:ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ
コメディアン、スティーヴ・カレル史上最低なクソ野郎演技が出色の、母親の恋人・トレントに口汚く罵られる14歳の少年・ダンカン。彼が、ウォーターパークのアルバイトを通して得るものとは? 少年のメンター役となるプールの監視員、オーウェン(サム・ロックウェル)が、少しも褒められた人間じゃないところが素敵。
セルフィッシュ・サマー
セルフィッシュ・サマー
原題:Prince Avalanche
製作年:2013年
監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
コメディアン、ポール・ラッド史上最も地味なポール・ラッドが、大規模な森林火災のあとの道路の修復作業に従事しながら旅をする。道連れは同じロード・ムービー『イントゥ・ザ・ワイルド』のときよりもずっとバカで自己中な助手のエミール・ハーシュただひとり。二人の不機嫌なやりとりを観ているだけなのに、こんなにもジョイフルなのは何故?
アドベンチャーランドへようこそ
アドベンチャーランドへようこそ
原題: Adventureland
製作年:2009年
監督:グレッグ・モットーラ
文化系オタク青年を演じたら右に出る者のないジェシー・アイゼンバーグが、進学の学費を稼ぐため、場末の遊園地でひと夏のアルバイト。というと、『プールサイド・デイズ』と同様の構造(こちらが先)ですが、こちらはメンターが恋敵にもなるというお話。あちらのサム・ロックウェルと、今作のライアン・レイノルズの違いかな。
グッバイ、サマー
グッバイ、サマー
原題:Microbe et Gasoil
製作年:2015年
監督:ミシェル・ゴンドリー
こちらも14歳。クラスのはみ出し者の少年ふたり。廃品を集めて「動くログハウス」のような自作カートで旅に出る。これが自伝的作品だというから、ミシェル・ゴンドリーのDIY精神ここに極まれり、という感じ。フランス映画界の大先輩、トリュフォーの『トリュフォーの思春期』を思い出しました。
次回こそ、邦画編(の予定)。
※追記:下記、「邦画編」も書きました。他に「洋画編」その1と、今回紹介した作品にもある「劇場未公開コメディ」についての記事も書いています。
邦画編はこちら
洋画編・その1
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