ちょっと失敗しましたが、顕微鏡にスマホを当てて撮影。
小学2年生の長男が夏休みである7、8月。
この間、和歌山県田辺市の「ひき岩群国民休養地 ふるさと自然公園センター」では、「自然観察教室」が計6回開催予定で、私と長男は、すでに終了した4回には全て参加しています。
今回は、7月22日の午後、午前中の「植物の採集・標本作製」に続いて行われた、「粘菌の観察」について紹介したいと思います。
粘菌研究でも知られる熊楠の暮らした地で。
和歌山県田辺市は、南方熊楠の英国から帰国後の永住の地。1929年(昭和4年)には、昭和天皇のこの地への行幸に際し、熊楠がキャラメル箱に粘菌標本を入れて献上したことが知られています。
また、ふるさと自然公園センターのあるひき岩群国民休養地(田辺市稲成町)周辺は熊楠が植物採集等のフィールドワークを行った地ということもあって、自然観察教室でも毎年この時期に、粘菌の観察会が行われています。
ただ、本日は粘菌を専門とする先生はいらっしゃらないとのこと。様々な生物に詳しい先生方は、私や長男のような素人からすれば神のような存在ですが、「微生物」を研究対象とされている先生も、粘菌は専門外だそう。生物、というのは広くて深い世界だと思わされますね。それでも、「粘菌かそうじゃないか、カビとかキノコとかとの区別くらいはお答えできますよ」と先生。
粘菌を探してみよう!
まずは外に出て、粘菌を探すところから。場所はふるさと自然公園センターの裏手の駐車場脇。センター裏は斜面林のようになっていて、その一角に、あらかじめ「その辺りから朽ち木や倒木を集めておいた」そうで、湿り気のある場所にそういったものがあれば、森林や山道だけでなく、実は人家の庭などでも見ることができるようです。ただしなかなか広い場所で、粘菌をピンポイントで探すというのはいきなりは難しいので、粘菌の好む環境をあらかじめ作っておいて、そこで発生した粘菌を探してみようというわけです。
すると意外なことに、けっこう次々に見つかります。カビやキノコもたくさん生えていて、私などにはパッと見なかなかわからないのですが、身軽に動き回ってしゃがみこんで、長男も見つけていました。
この赤茶っぽいのや、
グレーの、お線香の燃えかすみたいなのや、
びっしり覆っている白いの。
粘菌とは?――飼育?(栽培?)も可能?
粘菌は菌類学者が研究対象としたため粘菌、変形菌などと呼ばれていますが、
変形菌(へんけいきん)とは、変形体と呼ばれる栄養体が移動しつつ微生物などを摂食する“動物的”性質を持ちながら、小型の子実体を形成し、胞子により繁殖するといった植物的(あるいは菌類的)性質を併せ持つ生物である。
(Wikipediaより) 変形菌 - Wikipedia
ということで(センターの先生方も同様におっしゃっていました)、菌類とはまた別のカテゴリーなんだとか。その後、研修室に持ち帰り顕微鏡でも観察しました。やろうと思えば自宅で「飼う」?「栽培」?することもできるようです。実際、クワガタを飼っていて朽ち木に粘菌が繁殖したりすることもあるといいます。
ネットでも色々面白いものが見られるようですし(下記等)、熊楠の街に住んでいるのだから、もっと粘菌のことを知ってみたいな、と思った一日でした。
粘菌の変形体が迷路を進む動画
「ほぼ日刊イトイ新聞」の「粘菌のはなし。」
ところで国民休養地って?
ところで、前回、前々回と触れなかったのですが、そもそも「国民休養地」って何でしょうか? 私も長男とこのふるさと自然公園センターに通うようになるまで知らなかったのですが、田辺市のサイト内の、「ひき岩群国民休養地」のページにはこう書かれています。
自然とのふれあいが少ない都市やその近郊の人々に、ハイキングなど単なる一時的なレクリエーション活動の場を提供するだけでなく、そこに生きる植物等と人間との調和のあり方、また自然の保護育成に関して考える機会を作るための場所となることを目的としています。
その他、ウィキペディアや環境省のサイト等を見てみると、都道府県立自然公園内に、環境省からの補助金で整備でき、「中心施設として、ふるさと自然公園センターとして機能するビジターセンター(博物展示施設)を設ける」こととなっています。
貴重な「体験」「学び」の場。
ここ田辺市の「ひき岩群国民休養地 ふるさと自然公園センター」も同様の経緯でできたもののようですが、ためしに「ふるさと自然公園センター」で検索してみると、全国各地のふるさと自然公園センターが出てきますが、ここと同じような自然観察教室を行っているところは見当たりませんでした(私が見つけられなかっただけかもしれませんが)。
私も長男も、当たり前のように通っていましたが、この観察教室、確かに先生方の熱意で成り立っている部分が大きいように感じます。年配の先生方も多く、次男(2歳)が行けるようになるまで続いてるかな、と思ってみたり、いつまでも続いて欲しいな、と勝手に思ったりしていますが、ともかくも、いち参加者として楽しんで、せめてこういう文章で、面白さを伝えることができたら、と思います。