読書
それが届いたときの感激。すなわち、包みを開いてそれを手にして――、掌にその重みを感じ――、顔を近づけて洋書独特の紙の匂いを嗅いで――、そっとページを開いたときの感触と驚きと興奮を忘れないようにしながら、そのとき浮かんだ気持ちをなんとかうまく、言…
バードウォッチングというと、つい「見る」ことに躍起になってしまうもの。でも街や自然のなかを歩いていて、鳥たちの姿を見かける以上に、その声が、歌が耳に入ってくる。その方が機会としては、ずっと多いはずです。「鳴く」ということを通して音で世界に…
いまや「紙の本を買わなくなった」という人も少なくないかも知れません。本が嫌いだから、というのではなくて、ひょっとしたらたくさん読む人ほど。 「だって嵩張るし、スマホやタブレット、Kindleに入れておけば、何時でも何処でも、何千冊だって持ち歩けま…
フリーペーパーやミニコミ、小冊子のような雑誌というよりパンフレットに近いような少ページ、少コストの紙媒体であれば、たとえば市販の単行本のような、造本や印刷に凝ることは難しいでしょう。それなのに、ただの紙に文字や写真が印刷され、ホッチキスで…
ブログ『おふぃすかぶ.jp』の鈴木章史さんによるKDP(Amazon Kindle Direct Publishing)電子書籍『アカウントを持って街へ出よう Chromebookとの365日』の表紙デザインをさせていただいたことをきっかけに、「KDPで電子書籍を作るのって面白そうだな」と思…
いつもポエティックで長ったらしい標題をつけるわりに中身がないと評判(かどうか知らない)の当ブログですが、今回はまあ、そのまんま。それで読みたくなるかどうかは話が別ですが。スギーリトルバード氏。彼は、九州出身のよそ者である私が色々な事情(ま…
1月7日、毎回欠かさず参加している<ひき岩群ふるさと自然公園センター>による自然観察教室で、『七草粥を作ろう』というイベントがあり、今回も小学生の長男とともに行ってきました。
年の瀬も押し迫り、私的には2017年のベスト音楽アルバムは、何度もこのブログで紹介してきたシンガーソングライター、青羊(あめ)さんによるソロ・ユニット<けもの>の『めたもるシティ』を置いて他にないのですが、タイムラインを眺めていたら、青羊さん…
映画『ダンケルク』に物語がない、というのは実はウソというか、雑な言い方で、端的な語り口の問題だと思います。しかしながら、戦争を題材にしたフィクションには(少なくとも私の好きな作品には)、物語を逸脱していく傾向があって、戦争というテーマをフ…
クリストファー・ノーラン監督の新作『ダンケルク』を観て、ダンケルク海岸で死んだ兵士も、生きて帰った者も、この映画によって、「今もあの時間のなかで生き続けている」ことになった、あるいは、「今もあの時間のなかで生き続けていることが証明された」…
先日私は自身で書いた祖母の告別式での挨拶を引用し、祖母の思い出について書きました。そこで私は、祖母と同世代の作家たちが晩年に書いた小説について触れています。(…)
「官僚機構の不条理」というと使い古された常套句ですが、ここまでひどいと笑うしかありません。 心臓発作のためにドクターストップがかかり休職中の大工、ダニエル・ブレイクは、国からの手当を受けようと役所に行きます。しかし、面談の結果、「就労が可能…
文章を書くうえで、おおきな影響を受けた作家が何人かいます。はじめに、高橋源一郎。小説や、文章で表現できること(してもいいんだ、ということ)の可能性の拡がりを教えてもらった。そして、リチャード・ブローティガン。「針の穴を通して世界を見る」よ…
炎天下の日曜日の夕方。 疲れ果てて帰ってきて、縁側に仰向けになって空を仰ぐと、澄み渡ったはるか上空を滑空する鳥が見えました。 それが見慣れたトビではなく、いつか先生に教えてもらったあの「オスプレイ」ではないかと思って、肩から斜めがけにしたま…
邦題と、“35歳の独身男性と19歳の女子大学生の出会い”というプロットから、いかにもなロマンティックコメディを想像しますが、この手の、低予算のアメリカ製ドラマ映画は注意が必要です。タイトルからも日本版ソフトのパッケージヴィジュアルからも、映画の…
ジャコ・ヴァン・ドルマル監督作品を観るのは、『神様メール』『トト・ザ・ヒーロー』に続いて3本目(そして後日、『八日目』も観てみました)。どれも一筋縄ではいかない作品ばかりで、私には簡単ではないのですが、不思議と肌に合う。と思っています。その…