ソトブログ

映画と本、自然観察(あるいは40歳、2児の父の日常)

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読書

カフカ『変身』の「新潮文庫の100冊」2018プレミアム・カバーに見惚れて――または言ってみりゃ僕らが紙の本を愛す理由。

いまや「紙の本を買わなくなった」という人も少なくないかも知れません。本が嫌いだから、というのではなくて、ひょっとしたらたくさん読む人ほど。 「だって嵩張るし、スマホやタブレット、Kindleに入れておけば、何時でも何処でも、何千冊だって持ち歩けま…

読んだあとも、手許に置いておきたくなる小冊子「mürren」と、遠くてもいつか行きたい、と思える書店「スロウな本屋」のこと。

フリーペーパーやミニコミ、小冊子のような雑誌というよりパンフレットに近いような少ページ、少コストの紙媒体であれば、たとえば市販の単行本のような、造本や印刷に凝ることは難しいでしょう。それなのに、ただの紙に文字や写真が印刷され、ホッチキスで…

リトルプレスとKDPを夢想する――Chromebookやポメラにおける「小さな物語」。

ブログ『おふぃすかぶ.jp』の鈴木章史さんによるKDP(Amazon Kindle Direct Publishing)電子書籍『アカウントを持って街へ出よう Chromebookとの365日』の表紙デザインをさせていただいたことをきっかけに、「KDPで電子書籍を作るのって面白そうだな」と思…

40がらみの男同士による音楽往復書簡。4月のプレイリストのテーマは「女たち」。

いつもポエティックで長ったらしい標題をつけるわりに中身がないと評判(かどうか知らない)の当ブログですが、今回はまあ、そのまんま。それで読みたくなるかどうかは話が別ですが。スギーリトルバード氏。彼は、九州出身のよそ者である私が色々な事情(ま…

春の七草採集イベントと、そのとき役立った、野外での野草観察に最適なフィールド図鑑2冊。

1月7日、毎回欠かさず参加している<ひき岩群ふるさと自然公園センター>による自然観察教室で、『七草粥を作ろう』というイベントがあり、今回も小学生の長男とともに行ってきました。

「あの人とあの人とあの人が出ているからあの雑誌を買う!」 ――<けもの>の青羊さんと、トオイダイスケさん、翻訳家の柴田元幸さんが「怒りの文学」を語る『ブルータス』#861号。

年の瀬も押し迫り、私的には2017年のベスト音楽アルバムは、何度もこのブログで紹介してきたシンガーソングライター、青羊(あめ)さんによるソロ・ユニット<けもの>の『めたもるシティ』を置いて他にないのですが、タイムラインを眺めていたら、青羊さん…

【書評】『ダンケルク』をきっかけに再読したい、物語を超越した「戦争小説」7選。

映画『ダンケルク』に物語がない、というのは実はウソというか、雑な言い方で、端的な語り口の問題だと思います。しかしながら、戦争を題材にしたフィクションには(少なくとも私の好きな作品には)、物語を逸脱していく傾向があって、戦争というテーマをフ…

映画レビュー『ダンケルク』――物語らない、あるいはノーランと田中小実昌。船底の穴と寝台の穴。

クリストファー・ノーラン監督の新作『ダンケルク』を観て、ダンケルク海岸で死んだ兵士も、生きて帰った者も、この映画によって、「今もあの時間のなかで生き続けている」ことになった、あるいは、「今もあの時間のなかで生き続けていることが証明された」…

祖母と“第三の新人”たち、祖父とビルマ戦線――小島信夫から『ダンケルク』まで。

先日私は自身で書いた祖母の告別式での挨拶を引用し、祖母の思い出について書きました。そこで私は、祖母と同世代の作家たちが晩年に書いた小説について触れています。(…)

映画レビュー『わたしは、ダニエル・ブレイク』――悪夢的不条理に立ち向かう、私たちの“スーパーヒーロー”。

「官僚機構の不条理」というと使い古された常套句ですが、ここまでひどいと笑うしかありません。 心臓発作のためにドクターストップがかかり休職中の大工、ダニエル・ブレイクは、国からの手当を受けようと役所に行きます。しかし、面談の結果、「就労が可能…

こんな文章が、書けたなら――。片岡義男『彼らと愉快に過ごす 僕の好きな道具について』

文章を書くうえで、おおきな影響を受けた作家が何人かいます。はじめに、高橋源一郎。小説や、文章で表現できること(してもいいんだ、ということ)の可能性の拡がりを教えてもらった。そして、リチャード・ブローティガン。「針の穴を通して世界を見る」よ…

くたびれて寝転んだ縁側で空を仰ぐと、遥か上空を猛禽類が飛んでいる(野鳥観察の愉しみ)。

炎天下の日曜日の夕方。 疲れ果てて帰ってきて、縁側に仰向けになって空を仰ぐと、澄み渡ったはるか上空を滑空する鳥が見えました。 それが見慣れたトビではなく、いつか先生に教えてもらったあの「オスプレイ」ではないかと思って、肩から斜めがけにしたま…

映画レビュー『恋するふたりの文学講座』――ロマンティックコメディの皮を被った「俺たち」ムービー。

邦題と、“35歳の独身男性と19歳の女子大学生の出会い”というプロットから、いかにもなロマンティックコメディを想像しますが、この手の、低予算のアメリカ製ドラマ映画は注意が必要です。タイトルからも日本版ソフトのパッケージヴィジュアルからも、映画の…

映画レビュー『ミスター・ノーバディ』――人生のあらゆる分岐を全て、私は経験した。

ジャコ・ヴァン・ドルマル監督作品を観るのは、『神様メール』『トト・ザ・ヒーロー』に続いて3本目(そして後日、『八日目』も観てみました)。どれも一筋縄ではいかない作品ばかりで、私には簡単ではないのですが、不思議と肌に合う。と思っています。その…