ソトブログ

映画と本、自然観察(あるいは30代後半、2児の父の日常)

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春の七草採集イベントと、そのとき役立った、野外での野草観察に最適なフィールド図鑑2冊。

 

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ひき岩(和歌山県田辺市)でのセリの群生。毎年同じ場所で繁っているそうです。

 

 

自然観察教室イベント『七草粥を作ろう』。

 1月7日、毎回欠かさず参加している<ひき岩群ふるさと自然公園センター>による自然観察教室で、『七草粥を作ろう』というイベントがあり、今回も小学生の長男とともに行ってきました。

 

 

以前にも紹介しましたが、「ひき岩群」と呼ばれるこのふるさと自然公園センターの周辺は、「国民休養地」に指定された自然豊かなところで、南方熊楠がフィールドワークした地としても知られています。

 

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今回の教室は日曜日となった1月7日当日に、センター周辺を散策しながら春の七草を採集し、七草粥を作ろうという内容でした。ただ実際には、時間の関係で七草粥は、センターの先生方が事前に採集したものを使って、参加者が採集している間に炊いて、頂きました。

 

一昨年くらいから息子と一緒にこの自然観察教室に参加していますが、私自身は元々はすごーーくインドアな文系人間だったので、自然科学に関する知識には暗く、植物に関してもどれがどれやら、という感じ。今年の息子の夏休みの自由研究で植物標本を作るのを手伝いながら、少しずつ植物に親しんでいるところです。

 

ところで春の七草には何があるの?

 そんなわけで今回は七草の採集ということで、予め図鑑で七草をチェックして付箋をつけておいて、カバンに入れて持っていくことにしました。

 

春の七草は、“せり なずな ごぎょう はこべら ほとけのざ すずな すずしろ これぞ七草”などと言いますが、現在の正式な呼び方(標準和名)とは異なります。

 

【春の七草の標準和名(と、科名)】

  • せり→セリ(セリ科)
  • なずな→ナズナ(アブラナ科)
  • ごぎょう→ハハコグサ(キク科)
  • はこべら→ハコベ(ナデシコ科)
  • ほとけのざ→コオニタビラコ(キク科)
  • すずな→カブ(アブラナ科)
  • すずしろ→ダイコン(アブラナ科)

 

私はすらすら覚えているわけでは全然なくて、ノート(野帳)にメモっていきました。勉強勉強。

 

フィールドで役立つ2冊の野草図鑑を紹介します。

 今回参照したのがこの2つの図鑑。植物図鑑にもたくさんあり、自然観察教室に参加する以前から息子には児童向けの図鑑を購入していましたが、自然観察教室に参加して以来、色々な評判や、ふるさと自然公園センターの先生方からお聞きしたりして揃えてみたのがこの2冊です。

 

 左から、『花と葉で見分ける野草』(小学館)、『フィールド版 日本の野生植物―草本』(平凡社)

 

『花と葉で見分ける野草』(小学館) 

 

約330種の身近な野草を収録。この本は何といっても写真が見やすい、わかりやすい。白バックの花と葉の特徴を見分けやすい写真で掲載してあり、説明文と併せて、私たちのような初学者でも実際に野外で見分ける手助けになります。所々に掲載された植物の逸話を紹介したコラムも面白い。春の七草関連では、セリについてこんなことが書いてあります。

 

セリ科には注意
セリやミツバは美味だが、セリ科には恐ろしい猛毒植物もある。ドクゼリは北海道~九州の水辺に生える。根をワサビと誤って食べた人が死亡することがある。根にある竹のような節を見逃したためだ。ドクニンジンはヨーロッパ原産で、関東~中国地方に帰化している。草原に生えるニンジンに似た植物で、毒による処刑に使われた。ソクラテスの処刑には新鮮な根のしぼり汁コップ1杯が使われた。

 

センターの先生方も仰っていましたが、セリによく似たドグセリには要注意!です。

 

『フィールド版 日本の野生植物―草本』(平凡社) 

 

こちらは玄人やハイアマチュア向け。研究者や教育者も必携の植物図鑑のデファクト・スタンダードらしい、『日本の野生植物』全3巻(平凡社)のハンディ版ということなのですが、それでも1000ページ以上あります。箱入りで、たいだい学習用の国語辞典くらいのサイズ感と外観です。税込8,424円と高価ですし、小学生の息子にも、私にとっても、これはまだまだ早いかな、とは思いましたが、これで日本国内の野草のほとんどが網羅されている(日本の種子植物3,700種より草本植物2,776種、3,224点を収録)とのことですから、一生モノ、と思って購入してみました。息子なんかは意外とゴリゴリ読んで、使いこなすのでは、と期待しています。1985年発行ということで、これだけの仕事はなかなかできないということなのでしょう。辞書然とした造本も美しいです。

 

函から出した本体。この辞書然とした佇まい。前半の写真図版704頁と、後半の解説頁、索引に分かれている。わかりやすい、見やすい本では決してないけれど、この網羅性は学習者としては頼もしい。 

 

自然観察会の様子――春の七草を探しにひき岩の自然に繰り出しました。

 ここからはイベント当日の模様を、写真を交えて紹介します。自然観察教室のなかでもこの春の七草の回は毎年人気らしく、いつもの教室は小学生を中心とした親子での参加が多いのですが、今回は老若男女様々な人たちが参加されていました。 

 

「雑草という草はない」と、かの昭和天皇も言われたそうですが、 「春の七草」といっても名札を下げて植わっているわけではありませんから、素人にはなかなかわかりません。センターの先生方に教えられながら、皆「どこどこ?」と足許を覗き込みます。

 

春の七草―ハコベ(ナデシコ科)

こちらはハコベの群生。こういうのが自分でもすぐわかったら愉しいのですが、自然観察教室で先生方に教えてもらいながら歩くと、見過ごしていた野山にたくさんの宝物があるようで、これも愉しい。

 

春の七草―セリ(セリ科)

記事冒頭のアイキャッチ画像に載せたセリを摘んで、図鑑のページを開いて写真に撮りました。こうやって一つひとつ覚えていこうかな、と思います。

 

春の七草―ハハコグサ(キク科)

ちょっと小さいですが、こちらはハハコグサ。七草の「ごぎょう」に当たります。 

 

春の七草―ナズナ(アブラナ科)

 これも写真がうまくないですが、ナズナ。「ぺんぺん草」「シャミセングサ」といった俗称は、花の下についた果実の形から。三味線のバチに見立ててついた名だということ。ちょっとピンぼけしていますが、画面右上に並んでいるのがそうです。

 

春の七草…ではありません! ホトケノザ(シソ科)

今回、七草の「ほとけのざ」ことコオニタビラコは見つかりませんでした。上の写真(円のなか)の紫色の花をつけた草は、ホトケノザという全く別の植物(シソ科)。ホトケノザは食用ではないそうですので、注意。

 

その他、春のひき岩グラフィティ。

七草以外にも、道々で立ち止まりながら、足許の自然を見つめます。水たまりに土筆(ツクシ)が顔を出しています。ツクシは、スギナ(トクサ科)の胞子茎だそう。

 

季節外れのタカサゴユリの花。「こんなところでよう頑張って咲いとるなぁ」。

 

地面すれすれに埋まったように咲いている、カンアオイ(ウマノスズクサ科)の花(中央)。これはさすがに自分では気づけないけど、こういうのを見つけるのが自然観察の醍醐味だなぁ、と思います。

 

自分たちで採った七草粥の美味しさは格別でした。

 観察会で振る舞われた七草粥の写真を撮るのを忘れてしまいましたが、寒空の下1時間余りも散策したあとのお粥はとても美味しかったです。七草粥なんて、美味しいものではない、と思っていましたが、(身体が冷えていたせいもあるのか)まさに身体の隅々まで染みわたる美味しさでした。この写真は自分たちで採った七草(正確には、セリ、ナズナ、ハハコグサ、コハコベの四草)粥。こちらも美味しく頂きました。

 

毒草には注意が必要ですが、いずれは自分たちで判別(同定)して採集できるように、また図鑑片手に観察・採集に行きたいな、と思います。

 

 

 

【過去記事より、これまでの自然観察教室から】