ソトブログ

映画と本、自然観察(あるいは30代後半、2児の父の日常)

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釣りをしない人間が見た『釣りよかでしょう。』――あるいは小学2年生をも魅了するブロマンス世界。

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写真:Thomas Leuthard


小学2年生の長男が現在ハマっているものに、『釣りよかでしょう。』というYouTubeチャンネルがあります。

 

www.youtube.com

 

釣りオンチの父親にして…。

釣りについて、私自身は知識も経験もないのですが、住んでいるのが海辺の街であり、同居の義父が世話してくれることもあって、息子は近所の漁港へ釣りに行ったり、本やテレビやYouTubeなど、どこからともなく知識を仕入れてきて、「セルビン」と呼ばれるペットボトルの仕掛けを作って川でウナギとりをしたりして、楽しんでいるようです。週末には私も一緒に行きますが、「父ちゃんは釣り詳しくないからわからんやろ」と、なかば子分扱いされております。 

 

ウナギとりの夏 (月刊 たくさんのふしぎ 2012年 08月号)

ウナギとりの夏 (月刊 たくさんのふしぎ 2012年 08月号)

 

息子のバイブルとなっているウナギとり絵本。 

 

また、所謂YouTuberによる動画コンテンツについても、私はほとんど観たことがありません(興味がないというよりも、観る時間がない)。

そういうわけもあって、『釣りよかでしょう。』についてもまったく知らなかったのですが、かなりの人気コンテンツなんですね。なので本当は、私などがこんなネットの隅っこで、わざわざ紹介することはないのでしょう。


息子が好んで観ているのは知っていましたが、私はチラっと横から眺めてみただけでその後もスルーしていたのですが、先日、大画面で観たい息子に請われてChromecastでふたりで一緒にテレビで観てみたら、これがまた、めちゃくちゃ面白いじゃないですか。

 

『水曜どうでしょう』オマージュの釣りチャンネル。その完成度!

 基本的には、アラサーと思しき数人のメンバーたちが、キャッキャッと騒いだりじゃれ合いながら、愉しげに釣りなどをしているだけに見えます。チャンネル名からも想像に難くありませんが、番組の構成やタイトルデザイン、会話のキャプションの入れ方やフォントにいたるまで、『水曜どうでしょう』を参照していることがすぐに見て取れます。『どうでしょう』のオマージュ/コピーというのは動画製作のプロではない(方の)YouTuberにとっては、コンテンツを制作する際によく取られる戦略だとは思います。しかし、『釣りよか』の完成度は非常に高く、これもまた私のYouTuberの世界に対する無知でしょうが、「ここまで来ているのか!」と驚きました。
(この辺の話もネットのなかでは腐るほどされているのではないかと想像しますが)


もしかしたら、というかおそらくそうだと思いますが、90年代後半の初期『どうでしょう』よりも、テクノロジーの進化のぶん、少なくとも映像の上ではリッチな仕上がりになっているかもしれません。

 

「釣り」目当てだったはずなのに――。

 しかし私が(息子との関わりにおいて)驚いたのは他の点にあります。『どうでしょう』を踏襲した作り、と書きましたがコンテンツそのものもそうで、「釣り」チャンネルといっても、釣りそのものに特化した動画というよりも、釣った魚だけでなくザリガニなどを料理したり、ただ「メンバーのひとりが10年伸ばしたヒゲを剃るかどうか」というようなネタなど、「愉しげな雰囲気でキャッキャッ」の方により重点が置かれているようです。
(これもYouTuber動画のあり方としては正しい方法論でしょう)

 

www.youtube.com

むねおくんのヒゲは剃られたのか?

 

つまり小2の長男は、元々は釣りに対する興味から動画検索して『釣りよか』に辿り着いたのですが、彼らYouTuberたちの「関係性の戯れ」をこそ楽しんでいるのです。

リアル世界での濃密なコミュニケーションの苦手な若者たちが、フィクションの享受において、ストーリーよりもキャラクター同士の戯れを、一種の憧れの眼差しをもって愉しみ、消費しているというのは昨今よくいわれる潮流ですが、ジャド・アパトー一派をはじめとしたブロマンス映画を愛し、その実友人の少ない私はともかく。

 

40歳の童貞男 無修正完全版 [DVD]

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「40歳映画」「ブロマンスムービー」の嚆矢ともいえるジャド・アパトー初監督作。 

 

結論:“楽しく愉快に過ごすよりほかに良い事はない”

ゲームやアニメといった子どもらしいコンテンツへの関心が薄い息子は、
「○○くんと××くんが話してるの何言うてるか全然わからんねん。」
などと言います。


一方で日夜釣りの仕掛けを研究し、イモリやサンショウウオ、ザリガニやメダカ、金魚までを飼育して、さらには植物や鳥の名前を覚え、刑事ドラマ『あぶない刑事』*1および舘ひろし・柴田恭兵コンビに親しむなどのひとり遊びに熱中しながら、『釣りよかでしょう。』やその界隈のYouTuber(『釣りいろは』『ハイサイ探偵団』などもチャンネル登録しています)たちのコンテンツに親しんでいます。

 

その姿には、多少の不安も感じなくはありませんが、
「やっぱり自分の息子だよなぁ。」
と諦めといとおしさを持って眺めている今日この頃です。
愉しく生きようぜ、息子よ。

 

以前引用した「コヘレトの言葉」をここでも引いておきましょう。

 

わたしは知っている。人にはその生きながらえている間、楽しく愉快に過ごすよりほかに良い事はない。
(『旧約聖書』(口語訳、「伝道の書」第三章十二節)

 

sotoblog.hatenablog.com

 

 

【余談】

ところで、息子にはYouTubeは私や妻のスマホ、iPadなどを使わせて見せています。たまに勝手に手にとって見ていることもあり、ネット環境及び通信端末を、どの程度子どもに使わせるのかは悩ましいところでもあります。

息子はゲームに興味がなく(別にそう仕向けたわけではありません)、 Nitendo DSなどの携帯ゲーム端末も持っていないので、スマホの用途もYouTubeの無料コンテンツとLINE(妻のスマホから他の家族に送る)くらいであって、今のところはこういう使わせ方でもいいかな、と思っています。

ただ、最低限のネット、ITリテラシーは身につけて欲しいので、ローマ字を覚えられるようになったら、このブログでも度々取り上げているChromebookを使わせてみようかと考えています。セキュリティやアップデート、用途面からも、Windowsなど他のOSよりも、「はじめてのパソコン」「はじめてのキーボード端末」として、Chromebookが良さそうだな、と思っています。(これについては一度きちんと整理して、あるいは実際に使わせてみて、書いてみたいです)

 

magazine.kakaku.com

 なかなかいいと思うんだけどな。

 

 ※追記(H29.11.1):『釣りよか』をきっかけに方言について考えた記事はこちら。

sotoblog.hatenablog.com

 

*1:これも私の趣味ではなく、長男が自分で選んだコンテンツなのですが、『あぶ刑事』について触れるとまたひとつの記事になってしまうので、ここでは割愛します。