ソトブログ

映画と本、自然観察(あるいは30代後半、2児の父の日常)

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読書

【書評】『ダンケルク』をきっかけに再読したい、物語を超越した「戦争小説」7選。

映画『ダンケルク』に物語がない、というのは実はウソというか、雑な言い方で、端的な語り口の問題だと思います。しかしながら、戦争を題材にしたフィクションには(少なくとも私の好きな作品には)、物語を逸脱していく傾向があって、戦争というテーマをフ…

映画レビュー『ダンケルク』――物語らない、あるいはノーランと田中小実昌。船底の穴と寝台の穴。

クリストファー・ノーラン監督の新作『ダンケルク』を観て、ダンケルク海岸で死んだ兵士も、生きて帰った者も、この映画によって、「今もあの時間のなかで生き続けている」ことになった、あるいは、「今もあの時間のなかで生き続けていることが証明された」…

祖母と“第三の新人”たち、祖父とビルマ戦線――小島信夫から『ダンケルク』まで。

先日私は自身で書いた祖母の告別式での挨拶を引用し、祖母の思い出について書きました。そこで私は、祖母と同世代の作家たちが晩年に書いた小説について触れています。(…)

映画レビュー『わたしは、ダニエル・ブレイク』――悪夢的不条理に立ち向かう、私たちの“スーパーヒーロー”。

「官僚機構の不条理」というと使い古された常套句ですが、ここまでひどいと笑うしかありません。 心臓発作のためにドクターストップがかかり休職中の大工、ダニエル・ブレイクは、国からの手当を受けようと役所に行きます。しかし、面談の結果、「就労が可能…

こんな文章が、書けたなら――。片岡義男『彼らと愉快に過ごす 僕の好きな道具について』

文章を書くうえで、おおきな影響を受けた作家が何人かいます。はじめに、高橋源一郎。小説や、文章で表現できること(してもいいんだ、ということ)の可能性の拡がりを教えてもらった。そして、リチャード・ブローティガン。「針の穴を通して世界を見る」よ…

くたびれて寝転んだ縁側で空を仰ぐと、遥か上空を猛禽類が飛んでいる(野鳥観察の愉しみ)。

炎天下の日曜日の夕方。 疲れ果てて帰ってきて、縁側に仰向けになって空を仰ぐと、澄み渡ったはるか上空を滑空する鳥が見えました。 それが見慣れたトビではなく、いつか先生に教えてもらったあの「オスプレイ」ではないかと思って、肩から斜めがけにしたま…

映画レビュー『恋するふたりの文学講座』――ロマンティックコメディの皮を被った「俺たち」ムービー。

邦題と、“35歳の独身男性と19歳の女子大学生の出会い”というプロットから、いかにもなロマンティックコメディを想像しますが、この手の、低予算のアメリカ製ドラマ映画は注意が必要です。タイトルからも日本版ソフトのパッケージヴィジュアルからも、映画の…

映画レビュー『ミスター・ノーバディ』――人生のあらゆる分岐を全て、私は経験した。

ジャコ・ヴァン・ドルマル監督作品を観るのは、『神様メール』『トト・ザ・ヒーロー』に続いて3本目(そして後日、『八日目』も観てみました)。どれも一筋縄ではいかない作品ばかりで、私には簡単ではないのですが、不思議と肌に合う。と思っています。その…